18歳のブログ - ntye -

18歳のブログ。夏休み突入。

 「十八歳の夜は、なんと孤独で、使うことのできない有り余った時間なのであろうか。」1

 「十八歳の夜は、なんと孤独で、

  使うことのできない有り余った

  時間なのであろうか。」

 

 星が薄っすら顔を出していた暗い空が、雲の下を通り過ぎていくようにオレンジ色に染まり、灰色と混じりながら徐々に青色に薄くなっていた。少し経つと太陽が昇るのを待つようにまたオレンジ色に染まっていく。地平線の少し上に見える色は空なのか、或いは雲なのか。そんなことを考えている間にも絶えず小鳥は誰かを呼び続けるように囀り、セミは東側に面した壁の上で静かにその時を待っている。僕はその鳥の名前を知らないし、セミの名前も知らない。それでも鳥の音は聞こえるし、セミの姿を認識することもできる。

 天気予報では、今日の日の出は4時43分だと言う。十一階のマンションから見える景色は人間を包むように、或いは人間を隠して見えなくするように、地平線を既に支配していた。東側に面した共用エレベーターへと繋がる廊下から下の階に繋がる剥き出しの階段に腰を掛けて、一番遠くに見えるマンションの階数を数え、太陽がそれより高く昇る時間を予測しているうちに太陽は灰色のマンションの上から顔を出し、一番濃いオレンジ色で地を舐めるように染めていった。

 いつものようにそのまま共用エレベーターに乗り、マンションから一番近い自動販売機に二百十円を挿れ、350mlの栄養ドリンクを一気に飲み干す。飲み終えた缶がゴミ箱に捨てられる音と名前の知らない鳥の声のみが聞こえる下町の、小さな道路の真ん中で東を眺める頃には、もうそこらのマンションのことなんて気にならないくらい高く上がった太陽が、白い肌の僕を照らす。中央分離帯の白線上を少し歩けば、数年前に開業した六百メートル超のチンコタワーが目に付く。チンコタワーの頂上から朝日を眺めたなら、どのような景色が見えただろうか。喉が渇いただとか適当な理由を付けて家に帰り、父親が買ってきたビールを冷蔵庫から2本ほど手に取って、壁を緑色に塗りつぶした部屋に戻ると、音を立てないように鍵を締めた。

 やっと僕の一日が終わった。